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アンリ・ル・シダネル展 [日々のキルト]

11月6日閉館という、軽井沢のメルシャン美術館まで、ル・シダネル展を滑り込みで見に行った。
11月5日だった。軽井沢は好きで、よく行くのだが、メルシャン美術館は初めてだった。軽井沢で、
しなの鉄道に乗り換え、御代田で降りて10分足らずだったが、7月から開催しているのに今まで
気が付かなかったのは残念。でも散る前の紅葉(黄葉)の木々や林が美しく、浅間山がくっきりと稜線を見せ、それは思いがけない一日の贈り物だった。

ル・シダネルは日本ではあまり知られてない画家かもしれないが、私は以前(もう20年以上も前?)ひろしま美術館で出会い、なぜか心惹かれて、いまでも彼の「離れ屋」という絵葉書を大事にしている。

アンリ・ル・シダネル(1862~1939)は20世紀の初頭に活躍したフランスの画家で、インド洋の
モーリシャス島生まれ。生涯を通して、さまざまの芸術運動を目撃しながらも、特定の流派に属すことなく、独自の画風を展開したと解説にある。

夜の森、月夜、夕暮れに家々の窓から漏れる灯など、その絵のもつ空気感は柔らかく幻想的
で、アンティミスムの画家といわれている。多く描かれた食卓の絵には常に人はいない。さっき
までの語らいを思わせる食卓、用意されているが誰もいない食卓。しんとして静かな霧の中の
風景、街なかの人気のない路。夢の中のようなその画面には、だが寂しさはなく、ふしぎな懐か
しさが感じられる。

薔薇の花が一面に絡んだ塀の奥の「離れ屋」の窓。そこから漏れる灯りは、切なさをともなう
想像力を誘う。今の時代の人々からは忘れ去られたような静謐な空間。でも彼が精魂こめて
花々で埋めたジェルブロワの石の屋敷は今も訪れる人々が絶えないという。好きな画を説明
することは難しい。その絵のもたらす何が私を引き付けるのだろう。ひとたびは経験し、いつか
忘れ果ててしまったものへの郷愁かもしれない。何かによばれる気がする。

プルーストは『失われた時を求めて』のなかに、この画家を登場させているとのことだ。今度
その部分を探してみたい。

ル・シダネル展は来年の4月ごろ、新宿で開かれるとのことだ。


見終わってから、紅葉の庭に出て、彼の「食卓」を想いながら、赤ワインとピザのランチを
楽しんだ。ひろしま美術館から、軽井沢のメルシャン美術館へ、ル・シダネルが不思議な
虹の橋をかけてくれた一日だった。
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