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阿修羅 [日々のキルト]

 阿修羅展を見に行った。もちろん奈良でも見たけれど、今回は背部までよく見られるというので、混雑を覚悟で、(金曜日、は夜まで見られるというので)思い切って出かけた。(それでも30分は行列したが、気候もよく、ユリノキの花の下のベンチにしばらく休んで行列の後ろについた。そう長くは感じなかった。

 まず八部衆の(カルラという鳥のクチバシをもつ像をはじめ、それぞれの像の表情も独特で)存在感に打たれ、次に和やかな十大弟子のお姿にとても親しみを感じた。さて、その隣室。すごい人波に取り巻かれた阿修羅像が、まぶしいライトを浴びておられ、少年のような無垢な表情をもったまま、そこに三組の腕を宙に伸ばして、立ちすくんでおられるような感じで、そのお姿に私は痛々しさを感じた。

 けれど人々の輪のなかをゆっくり歩みながら、その背後を回り、三面のそれぞれの表情をまじかに見あげていくうちに、像の内部からあふれ出す豊かな生命力の波動に打たれ(特に正面のお顔の表情に)、痛々しさや戸惑いは消えた。阿修羅はやはりすばらしい体験だった。生命エネルギーとすぐれた美がそこに凝縮され、一体となって、多くの人々をとらえて放さない。人々はその場を去ろうとせず、いつまでも、ただただ熱心にみつめていた。

 数年前に、シチリアの海底から引き上げられたサチュロス像は永遠の生命エネルギーの化身のように、私にとって忘れがたい宝物だ。そのサチュロス像が無限の生命の歓びであり、宇宙への賛歌であり、「動の活力」を感じさせるものとしたら、阿修羅像は内面へ向かうひたむきな祈りに支えられた「静のエネルギー」をより強く感じさせた。

 私にとって、わがサチュロスにはモーツアルトのディベルティメントがよく似合った。では阿修羅像の音楽は、何なのだろうと思う。
 
 
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近況報告 [日々のキルト]

    去年の12月以来の投稿なので、忙しかったこのところの、近況報告などをさせていただきます。 主なことを書かせていただきますと…。

  1. 3月に『ラプンツェルのレシピ』という詩誌を発行しました。  これは横浜で、時折りグリムなどのお話を読んだり、詩について語り合ったりしている仲間8人で、グリムのラプンツェルのお話をネタに、詩とエッセイをまとめたものです。  表紙の相沢律子さんの絵がなかなかよくて、一目で印象に刻まれます。 (なかみは読者の方々のご判断におまかせすることにして)私は大いに表紙をたのしみました。  まだ少し残部がありますので、ご希望の方は声をかけてください。

  2. この春、EdwinA・クランストン氏が『The Secret Island and the Enticing Flame』 ー (日本の詩における記憶と発見と喪失)ー という副題をもつ著書を、 コーネル大出版部から上梓されました。  そこに「皿の底の闇ー水野るり子の詩の神話をさぐる」という題の、私の詩についての70頁ほどの作品論が載っています。(クランストン氏はハーヴァード大学の日本文学の研究者であり、このたび その業績により旭日中綬章を受けられたのは嬉しいことでした。)  私がクランストン氏と会ったのは、ハーヴァード大での一夜のパーティの折であり、それ以来20年近くにわたる、訳をめぐっての、私たちの長い交信がもたらした貴重な果実であることを思うと、感無量です。 

  3. ペッパーランドの創刊同人であった、前田ちよ子さんが去年7月に急逝されました。  彼女を偲び、その すぐれた詩作品を紹介させていただきたく、追悼誌「ペッパーランド34」を編纂してきました。  『星とスプーン』『昆虫家族』 の詩集を中心に、9名のエッセイと鼎談による構成で、やっと印刷所に原稿を渡してほっとしています。6月にはできあがる予定ですので、  お読みいただければ嬉しいです!

  4. 絵本『ヘンゼルとグレーテル』。近いうちに新樹社から訳が出る予定です。  読みなれたお話ですが、あらためて一語一語自分で訳してみると、一行ずつの微妙な陰影にとらえられて、いい読み方の経験になりました。  メルヘンや神話のもつ謎と美しさと恐怖の淵が深みをましてきます。このところあらためて物語や伝説のおもしろさに出会い直しています。


  以上、近況からのご報告です。 

 
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