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E・A・クランストン氏の受賞の会 [日々のキルト]

 久しぶりにブログの頁をあけたら、もう一ヶ月以上もごぶさただったことに気がつく。

よほど落ちつかない日々を過ごしていたのだ。でも心覚えのためだけにも、次のことは記しておこうと思

う。

 2月19日にエドウィン・A・クランストン氏(ハーバード大学教授であり、私のすべての詩集や作品の訳

をしていただいた)が大阪府より山片蟠桃賞(日本文化を広く海外に紹介し国際理解を深めた著作及び

その著者を顕彰する賞)を受けることになり、私も日帰りで大阪まで出かけた。

 賞の対象となった著作は”A Waka Anthology,vol one:The Gem−Glistening Cup.”であ

り、これは古事記、日本書紀、風土記、続日本記、万葉集などから1578首を抜粋翻訳し、詳細な註と

解説を付したもの。すべてオリジナルの訳で序論を加えて千頁をこえる大著である
 
この後2006年には新撰万葉集、古今和歌集にはじまり、源氏物語の和歌795首までも収めた第2巻

が出され、やがて第3巻がこれに続く予定とのこと。

 このほかに氏は[和泉式部日記」の訳とその詳細な解題、研究書なども公刊、その成果は、欧米を中

心とした日本古典文学研究に大きな影響を与えている。

 当日は10年ぶりくらいにお元気なご夫妻にお目にかかれたのが私にはなにより嬉しかった。70歳を

越えて、なおお二人とも(夫人の文子さんは東洋美術の研究者)今後の仕事への情熱に静かな意欲を

燃やしておられるのが伝わってきて、それも私には大きな励ましであった。
 
 クランストン氏の当日の講演では日本文学研究の一学徒としての今までの人生を振り返り、日本文化

とアメリカ国籍の間で揺れた個人的経験に触れ、何より日本への一貫した深い愛を語られた。訳者とし

て柿本人麻呂はじめその他の歌人たちに触れ、自然と交感するやまとことばの繊細な美しさへの傾倒を

しみじみと話された。折々にユーモアを交え会場に笑いを誘った楽しいスピーチであった。
 
 日本人でありながらそれらの文化に疎遠に過ぎた、私のせまい言語経験をふがいなく思い、複雑な思

いで会場をあとにした。 91年のハーバード大でのクランストン氏との出会い、それからの10数年、詩を

めぐって交わされた交信の日々…、私は今回の氏の受賞を心から喜びながら、それらの月日の落穂拾

いがこれからの自分の宿題として残されていることをあらためて反省しつつ、それをあわただしい大阪行

きの土産にしたいと思った。
 

 さいごにこの著書の巻頭に文子夫人への献辞があって、それがなかなかすてきなので、挙げさせてい

ただこうと思う。

                 
             FOR FUMIKO

         Murasaki no
 
         Hitomoto yue ni
                      
           Musasino no

         Kusa wa minagara

         Aware to zo miru

                 Anon.,Kokinshu XV�:867

  

 むらさきの 一本ゆえに 武蔵野の 
                   
         草は みながら あわれとぞ 見る (古今集巻17:867より、よみびとしらず)


 
 

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